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おすすめラノベ紹介/スパイ教室01

スパイ教室1巻

スパイ教室01 《花園》のリリィ (富士見ファンタジア文庫)


レーベル;富士見ファンタジア文庫
著者;竹町
イラスト;トマリ
発売日;2020/1/18
関連ワード;スパイ 学生 戦闘 ファンタジー 頭脳

 

スパイ教室1巻/カンタンなあらすじ


世界に拡大した史上稀にみる争いはガルガド帝国の降伏により幕を閉じた。大戦は、国と人を疲弊させ、世界は痛みを知る。二度目の過ちを避けるべく、国同士で手を取り合って平和への道を歩もうとしていた。
――だが、それも表向きの話。
舞台は裏へと移り、各国は他国を出し抜くべくスパイによる諜報戦を仕掛け、対立しあう――『影の戦争』の戦端が開かれた。
クラウスはディン共和国の諜報機関に属する凄腕のエージェントである。彼のもとに極秘裏に下った任務は『不可能任務』と呼ばれる成功率が一割にも満たない困難なミッションだった。
結成されたのは不可能任務に挑むための臨時チーム『灯』。
しかし、他のメンバーとして集められたのは何故かスパイ養成機関での成績が悪い落ちこぼればかり。
クラウスに一流のスパイ技術を伝える指導教官的役割が期待されるも、なんと天才の彼の感覚は独特すぎて、恐ろしく説明下手なために指導がまったく成立しなかった。
任務の実行期日まで刻一刻と迫る悲観的な状況の中、クラウスがとった起死回生の教育手段は――「僕を全力で倒せ」というものだった。

 

スパイ教室1巻/主要登場人物紹介


花園


銀髪の少女。「灯」のリーダー。ドジで調子のいい部分がありながらも、したたかな面も持ち合わせている。スパイ技術の成績は悪いが、特異体質をもつ。


愛娘


ボブカットで赤髪の少女。穏やかな物腰で頭脳明晰な「灯」の参謀ポジション。変装を得意としている。クラウスをボスと慕う。


百鬼


白髪でショートカットヘアの少女。獣のような鋭さを醸し、物怖じしない凛然たる性格。チーム内ではツッコミ役を担う。身体能力が高く、盗みが得意。


氷刃

 

青銀髪の少女。高慢で不遜な態度を見せるが、それに見合うだけの高い実力を持つ天才肌。「灯」のエース。


夢語


黒髪でストレートヘアの少女。類まれなる美貌の持ち主で色仕掛けが得意。18歳という「灯」の最年長者で、実質的なリーダー。ディン共和国最強のスパイチーム「焔」の存在について以前から知っている。


草原


パーマがかった茶髪の少女。心配性で気弱な性格。動物の力を借りることができる。語尾に「っす」をつける特徴をもつ。


忘我


灰桃紙の少女。底抜けな純真無邪気さを見せる。自分のことを俺様と呼称する。


クラウス


長身痩躯で長髪の男性。「灯」のボスであり、指導教官役。世界最強のスパイを名乗り、圧倒的な実力を持つが、感覚だけで物事を処理する天才なため、指導や説明が上手くできないという欠点をもつ。

 

スパイ教室1巻/感想・レビュー


スパイを題材にした作品です。スパイや殺し屋といった裏で暗躍する闇や影を感じさせる非日常のアングラ的存在に惹きつけられしまうのは人間の性でしょうか。
今作はスパイチームが生存困難なミッションに挑むという実に心くすぐられる設定で、わくわくドキドキした感情のまま読み進めることができます。
しかも、挑むは落ちこぼれだと組織で烙印を押された少女たちです。ここでこの物語の課題は劣等生が最高難易度の任務を成功させるというものになり、そこに指導役が教え下手で正攻法の鍛錬ができないという要素を加え、課題をさらに肥大させています。
もっとも劣等生設定ではありますが、単純に実力が低いという要素に関しては薄いです。少女たちもスパイ技術を普通に身につけており、それを駆使していますし、比較対象となる対峙する登場キャラが超一流スパイなせいで落ちこぼれ的要素についてはあまり感じにくいかもしれません。
単純な技術や能力うんぬんではなく、あくまでそれぞれの少女がなんらかの致命的な問題を抱えているという意味でよくある劣等生ものだということになる感じになるのですが、それでは今回そこにフォーカスして解決を図って成長を見せていくのかというとそういうものでもありません。
もちろんそうした部分もないわけではないのですが、単純に成長を見せてそれで課題を乗り越える物語といったものでないのが、この作品の面白いところです。
これはスパイの物語。頭脳や情報を駆使して、どんな手段を取ってもというまさにスパイならではの見事な課題解決の図り方をします。
読む前には、やや不安に思われた部分である第一冊目からのいきなりの登場人物の多さというものもありました。
登場人物が多ければ多いほどそれを適確に捌くのは難しく、どうしたって一人ひとりの描写が薄くなりますし、読者もいきなり全員を覚えきれるものでない弱みを抱えています。
ですが、作者も編集部もプロですし、そうした部分をわかりながらそれでもこの構成にした狙いや仕掛けはあるはずで、それは何だろうと思いながら読み進めましたが、その辺も最後にはしっかりと理解させられ、なるほどと唸らされてしまいました。
メリットを生かしつつ、デメリットを最小限にする見事な構成については是非読んで確かめていただきたい部分です。
スパイの仕掛けに翻弄され、はらはらドキドキの展開を楽しめるおすすめの一冊です。

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