おすすめラノベ紹介／八月のシンデレラナイン 北風に揺れる向日葵

八月のシンデレラナイン　北風に揺れる向日葵

レーベル；ファミ通文庫
著者；片瀬チヲル
イラスト；Akatsuki
発売日；2018/5/28
関連ワード；野球　青春　学生

 八月のシンデレラナイン　北風に揺れる向日葵／カンタンなあらすじ

ボーイズリーグの全国大会決勝。そのマウンドに立つ八上浩太の肩はすでに限界だった。
己の全てを白球に懸けて――しかし掌のそれは想いとは裏腹に無情にもグラウンドに零れ落ちた。
野球を失った八上が進学先に選んだのは野球に縁もない学校。
そこで出会ったのは、自分と同じように野球の道を諦めた少女、有原翼だった。
捨てたくても捨てきれない想いの残滓が邂逅をきっかけにして再び形になって集っていく。
あの甲子園に立つ夢のために翼、そして浩太は野球部のない学校に女子野球部を創部することになる。

 八月のシンデレラナイン　北風に揺れる向日葵／登場人物紹介

八上浩太

ボーイズリーグでも指折りの実力を持った優秀な投手であったが、怪我が原因で選手としての道を断たれる。野球から離れるために野球部のない学校に進学するが、そこで翼に出会ったことで再び野球に関わるようになる。

 有原翼

女子選手であるが、シニアリーグで男子にも負けない活躍をするほどの天才的な身体能力を持つ。女子は甲子園を目指すことはできないため、高校進学を機に野球を一度諦めることになるが、怪我をした浩太と出会ったことで、女子野球部の創部に動く。

エレナ・スタルヒン

ロシアとのクォーターだが、日本育ちで日本語も堪能。季節外れの転校してやってきて、部員候補として翼らに目を付けられる。

河北智恵

翼の幼馴染で一番の親友。これまで野球にはかかわってこなかったが、翼の女子野球部創部に協力し、それをきっかけに初心者として野球も始める。

野崎夕姫

ドッジボールやバスケットボールの経験者で非常に強いフィジカルも持っている。容姿含めて非常に恵まれているが、控えめで自信のなさをうかがわせる。 

鈴木和香

兄が野球をしており、その姿を小さいころから見てきたため野球が好きで詳しい。運動はやや苦手で体力はあまりない頭脳担当。

東雲龍

シニアリーグで活躍していた女子選手で現在クラブチームに籍を置いている。兄がプロ野球選手で、自身もまたプロを目指しているため、かなりストイックな努力の人。

八月のシンデレラナイン　北風に揺れる向日葵／感想・レビュー

ソーシャルゲーム「八月のシンデレラナイン」の小説版になります。内容としては、ゲームシナリオとごく一部被りつつも、小説オリジナルキャラクターのエレナを登場させ、違ったお話を展開させています。（後にゲームに設定が輸入されますが）
小説の内容は、まずは情景の描写が丁寧で綺麗です。野球という野外の、グラウンドのスポーツなので、外の空気や音のイメージが強く感じられるとそれだけで気持ちいいです。
本作は青春体験を基調として製作されたものですので、若者がひたむきに生きていく姿にフォーカスしてます。主に浩太、翼、エレナの三人のキャラクターが何らかの挫折を味わい、心に傷を負っている状態でそこから立ち上がっていくという内容です。スポーツものとしてありがちな要素とも言えますし、王道的青春ストーリーとも言えます。
部活動ものの見どころの一つである白熱した試合展開に関しては、さすがに部活結成という初期の部分なためありません。
しかし、青春ものらしくしっかりぶつかり合う衝突描写は盛り込まれています。悩み、傷つきながらも周囲の仲間と共に乗り越えていく過程と夢と希望を抱いて走っていく姿はやはり共感を呼びやすいです。
ゲームでは都合上簡素になりがちなシナリオや心理描写も小説では濃密に描かれていますので、もう少し追体験として入れ込むことができます。
汗かく健全な青春模様を主軸ですので、恋愛方面は控えめです。女性比率が高く男子が一人囲まれている環境はことさらハーレム臭がでますが、そこの色恋感を無闇に広げない姿勢には好感が持てました。
何といいますか、ひとつまみのアクセントとして最大限活用されてます。過剰に主張、演出せず、けれど少しドキりとするような一瞬は上手く描いて、爽やかさを損なわずに女性キャラの魅力を引き出していました。
ゲーム本作をプレイして知っていた方が基本的に楽しめますが、ライトな青春劇が好きな人にはヒットするかもしれません。女子野球を扱う物語も限られていますのでそこを求めていた方にもおすすめの作品です。 

 ひとくちおすすめポイントまとめ

• 挫折から立ち上がるthe王道感！
• 部活動に汗を流す美しい青春シナリオ！ 

八月のシンデレラナイン　北風に揺れる向日葵【電子書籍】[ Akatsuki ]