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おすすめラノベ紹介/未実装のラスボス達が仲間になりました。1巻

未実装のラスボス達が仲間になりました。

未実装のラスボス達が仲間になりました。

レーベル;ファミ通文庫
著者;ながワサビ64
イラスト;かわく
発売日2020/11/30
関連ワード;ファンタジー バトル 冒険 MMORPG デスゲーム


未実装のラスボス達が仲間になりました。/カンタンなあらすじ

永遠という名を持つ《eternity》は最新の体感型VRMMOとして発売された。
しかし、サービス開始の初日にシステムを司るmotherAIが突如暴走を起こしてしまう。
これにより約35万人のプレイヤーはログアウトすることを許されず、ゲーム内での痛みと死が現実に直結する絶望のデスゲームに囚われた。
プレイヤーの一人である修太郎は、キャラクリエイトと同時に与えられるランダムのスキル「ダンジョン生成」を図らずもAIによるシステム書き換えの瞬間に同時発動していた。
使用した場所の下に生成されたダンジョンは未実装エリアと重なり、そこを支配していた6人の魔王含めて修太郎が取得することになってしまった。
ゲーム世界に閉じ込められ、強大な存在に囲まれることになった修太郎は、恐怖と心細さを感じつつも、なんとか魔王らと心を通わせて生きていこうとデスゲームに立ち向かっていく。

未実装のラスボス達が仲間になりました。/登場人物紹介

修太郎

中学生になってまもない心優しい気弱な少年。ゲームリリース時の無料配布に当選したことでeternityのプレイヤーになるが、そこで偶然にも未実装のボスキャラクターを従えることになる。

プニ夫

修太朗が生成した初めてのダンジョンモンスターのスライム。デスゲームや六人の魔王に囲まれる状況になった修太朗にとって唯一といっていい癒しの愛玩生物。

エルロード

序列第一位の魔王。執事服姿の美男子。紳士然としているが、やや冷淡とした一面も持つ。理知的で修太郎と自身らの眷属関係の状況を即座に飲み込む。

バンピー

序列第二位の魔王。全身真っ白の容姿をした少女。不死族を統べる女王で周囲の生命力を奪い終焉を齎せることができる。

ガララス

序列第三位の魔王。豪快で野心的な巨漢の戦士。外界に興味を持ち、修太郎をその繋がりとなる存在として見ている。

シルヴィア

序列第四位の魔王。狼の耳を生やした銀髪の聖獣族の女王。突如降ってわいた主である修太朗に対して反発心を抱く。

セオドール

序列第五位の魔王。黒髪の騎士。物静かでありながら、内に強い意志を秘めた武人で、武具の製作も自身で行う器用さを持つ。

バートランド

序列第六位の魔王。金髪のエルフの王。軽薄な言動をみせる戦士だが、自身の種族であるエルフ族に対する深い愛情を持つ。

ミサキ

ゲーム初心者の女子学生。弓使いで珍しいスキルを所持しており、慣れないゲーム内で必死に生き残ろうと奔走する。

ワタル

大規模ギルド紋章のリーダーにしてトップランカー。知識と実力と人望を持ち合わせ、閉ざされたオンラインゲーム内が混乱し、無秩序とならないよう統率をはかる。

未実装のラスボス達が仲間になりました。/感想・レビュー

VR型のMMORPGの世界が舞台で、ゲーム内に閉じ込められるという一時期ブームになった設定の物語です。どうしても多人数参加ということと、オンラインゲームという都合上、登場キャラや細かな設定が多く登場し、記憶と理解の面がある程度求められます。そのためやはりこのジャンルについてある程度知っている方向きの内容です。
ストーリーは多人数の登場人物ということで群像劇のスタイルをとって複数のエピソードを並列して進行させてます。物語は大きく分けて修太郎と魔王サイド、ミサキとワタルの紋章ギルドサイドの話になります。
タイトルやあらすじから修太郎や魔王がメインの柱と捉えそうになりますが、実際のところはミサキやワタル側のストーリーがかなりの要となってました。
これは閉ざされたゲームで死のリスクがあるという舞台設定なため、どうしても修太郎側の最強軍団の描写だけではそれがほとんど生かされず緊張感が失われてしまいます。設定を殺さず、生かすためにはミサキやワタルといった混乱する非戦闘民をそばに抱えつつも必死に秩序と平穏を求めあがくキャラクターの姿が不可欠です。
だからこそ相互のエピソードを適宜織り交ぜながら描くことで、上手く緊張と緩和のそれぞれを緻密に演出されていて感銘を受けました。作者もバランスには大変気を遣われているようで、ただの無双もの一辺倒で終わりそうにない気配にしっかりと安心感を抱きながら読むことができました。
また、気になったのは、クリアの条件が『彼の破壊』で、いまだ『彼』が誰を対象としているのか不明瞭なことと、ダンジョンコアという存在により一見最強で無敵に見える魔王軍団にも『滅びのスイッチ』がしっかり示されていることです。これらは不穏な感じを仄かに漂わせる良いスパイスで、今後の展開を楽しみにさせてくれます。
デスゲームならではの大きな絶望と緊迫感がより訪れることを期待しながら、次のお話を待ちたいと思える作品でした。

ひとくちおすすめポイントまとめ

  • 伝統と信頼の閉ざされしMMORPG
  • 異なる視点を相互に描いてキレのある緩急を演出!

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