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おすすめラノベ紹介/あなたを救いに未来から来たと言うヒロインは三人目ですけど?

あなたを救いに未来から来たと言うヒロインは三人目ですけど?

あなたを救いに未来から来たと言うヒロインは三人目ですけど? (富士見ファンタジア文庫)

レーベル;ファンタジア文庫
著者;氷純
イラスト;うらたあさお
発売日;2021/4/20

あなたを救いに未来から来たと言うヒロインは三人目ですけど?/カンタンなあらすじ

白杉巴は高校二年となる新学期早々に教室でクラスメートの笹篠明華に突然告白される。
明華とは中学の頃から今までの5年間同じクラスではあったものの、それ以上の親しい関わり合いが全くなかった。
告白の理由に思い当たらず巴が戸惑っていると、明華は自分が未来人であると説明する。
近い将来、明華と巴は恋人関係になるが、しかし巴はトラックに轢かれて死亡する――その未来を回避すべく明華は「やり直し」に来ていた。
ひとまず返事を保留する巴だったが、その日のうちにアルバイト先の喫茶店で後輩の迅堂春からも同様の告白を受け、さらに、幼馴染で又従姉弟である松瀬海空も加わってくる。
巴は三人の未来人に迫られながら、死の運命を変えるべく奔走する。

あなたを救いに未来から来たと言うヒロインは三人目ですけど?/登場人物紹介

白杉巴

地元の名士である松瀬の親戚である白杉の人間。本家からの依頼を受けることで一族の助っ人をしている。

笹篠明華

日仏のハーフで人目を引く容姿をしている。巴とは腐れ縁で中学のころから同じクラスだった。未来人であり、巴を救うために過去にやり直しに来ている。

迅堂春

明るいムードメーカーで巴の一つ下の後輩。カフェでアルバイトとして働く際に巴に一目惚れする。明華同じく未来人の一人。

松瀬海空

巴の又従姉弟で松瀬本家のお嬢様で未来人。一族の当主として非常に有能であるが、実はだらしない引きこもりという裏の一面ももっている。趣味はデイトレード

あなたを救いに未来から来たと言うヒロインは三人目ですけど?/感想・レビュー

ストーリー

未来からの時間遡行をテーマにしたループもの作品です。内容としては、「死」という特定の結末への問題解決をはかるために運命改変を試みるタイプのお話になります。
登場人物の死という悲劇的な要素と複数の女性に取り合いされるというラブコメの喜劇的要素を同居させ、緩急のコントラストをはっきり効かせることで豊かな彩りが出ています。謎を追うミステリー要素も巧みに織り交ぜており、展開を追う楽しさを濃く感じさせてくれました。
また、作中ではテニスの試合に関する描写がしっかりと描かれており、青春スポーツ系の側面も併せ持っています。幅広くバラエティに富んだ内容で、飽きさせない工夫が随所に施されている印象が非常に強い作品でした。
一つ一つの要素についても中途半端でなく、良質な形として丁寧に仕上がっています。雑に並べず、ループものを軸としながら全体で自然となじませていたのもポイントが高いです。
独自の緊張感や熱さといった良さを主張し、スタンダードなラブコメものとは大きな差別化が図られていました。
メインの恋愛部分に関しては、複数ヒロインによるハーレム展開なためやや好みは別れるところです。物語の都合上、スタートからヒロインの好意が全開でヒロインとの出会いも劇的なものでありません。そのため、いわゆる距離感を縮めていく、恋心を育てていくといった過程の楽しみはほとんど省かれています。何故主人公を好きになる段階に至ったのかという説明もされていませんので、そうした部分を求めたい方には少し物足りないかもしれません。
ヒロインとのイチャイチャや複数ヒロインによる鞘当てのシーンには事欠きませんので、手早くシンプルにニヤニヤしたい方にはお勧めです。

キャラクター

複数ヒロインもののラブコメだと往々にして主人公が好感を持ちにくいタイプや癖が強すぎるタイプなどが散見されますが、本作主人公の白杉巴はとても良いバランスでキャラメイクがなされていました。
消極的な性質もなく、かといって変に特殊だったり、強烈すぎる個性もありません。読み手にとって受け入れるハードルがとても低く感じられました。
目的のために必死に頭使ったり、積極的に頑張る姿勢といった主人公の資質も十分見られるため、共感と好感がもてます。
また、ヒロインが多くのやり直しを経験した未来人で好意のギャップが強くある設定もあって、ハーレムものに発生しがちな「だらしなさ」や「主人公への不快感」を上手く緩和されています。
上のストーリーの感想でも触れましたが、この作品はラブコメしたり、ミステリーしたり、スポーツしたりなので、その中心に据えられた主人公が親しみを持ちやすいキャラクターであったのは、素晴らしかったです。
ブコメを支えるヒロインですが、未来人で主人公を助けに来たという属性が三人とも被っていますが、それぞれ違った可愛さを見せてくれます。年上、年下、同級生と各種揃えているところも行き届いてます。しかし、複数ヒロインの都合や、ループものSFとしての要素などいろいろな描写に文章を割く必要があったことなどで、全てのヒロインの魅力を十分に伝わるには難しいところもありました。
メインとして笹篠明華は存在感が十分だったのですが、その分、迅堂春や松瀬海空のヒロインとしての輝きはやや弱かった印象は否めません。
このあたりの描写は次巻以降で解消される問題でもありますので、次の二人のヒロインのメインの話が読めることを期待したいと思います。

ひとくちおすすめポイントまとめ

  • SFループものを軸にラブコメ、ミステリー、スポーツを混ぜた色彩豊かなストーリー!
  • 積極的に運命に抗い改変しようと動く熱いキャラクター!

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