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おすすめラノベ紹介/神は遊戯に飢えている。1 神々に挑む少年の究極頭脳戦

神は遊戯に飢えている。1 神々に挑む少年の究極頭脳戦

神は遊戯に飢えている。1 神々に挑む少年の究極頭脳戦 (MF文庫J)

レーベル;MF文庫J
著者;細音 啓
イラスト;智瀬 といろ
発売日;2021/1/25
関連ワード;ファンタジー 頭脳戦

神は遊戯に飢えている。1 神々に挑む少年の究極頭脳戦/カンタンなあらすじ

神々は遊戯を愛し、その対戦相手として人類を選んだ。
遊戯への挑戦権を気まぐれに与えられたものは、使徒と呼ばれ、プレイヤーとして神の加護を授かる。
人類側の神々の遊戯への対抗組織である『神秘法院』に所属するフェイは、使徒として近年最高のルーキーと評されるほど、優秀な戦績を持つプレーヤーだ。
長き眠りから目覚めた竜神レオレーシュからのリクエスト「遊戯の一番上手い人」に選ばれたフェイは彼女と相対し、遊戯をすることになる。
勝負を通してレオレーシュはフェイの腕前と向き合う姿勢を気に入る。そこで二人は『神々の遊び』に挑むための新チームを結成することになった。
神々との遊戯は数が多いほど有利というセオリーにのっとり、チームメンバーの勧誘活動からはじめるフェイとレオレーシュ。
しかし、神の力を宿すレオレーシュは使徒にとって畏怖の対象であり、本人の傍若無人ぶりもあわさって、メンバー募集は想像以上に難航する。
なんとか探し当てた候補は、使徒を辞めようと考えている少女・パールだった。メンバーにするためには、彼女の遊戯に対する後ろ向きの考えを変えなければならない。
フェイとレオレーシュはパールに遊戯の楽しさを知ってもらうべく、難攻不落の巨神に対してチーム戦で挑みかかるのだった。

 

神は遊戯に飢えている。1 神々に挑む少年の究極頭脳戦/登場人物紹介

フェイ

神秘法院ルイン支部に所属している使徒。根っからの遊戯好きで、その実力も高く、近年では最高のルーキーとまで言われているほど圧倒的な戦績を残す。自分に遊戯の楽しさを教えてくれた赤髪の女性を探している。

レオレーシュ

かくれんぼ中にうっかり寝過ごしてしまった竜神。目覚めた後は、神秘法院ルイン支部に保護された。人間に受肉したために現在は元神の身だが、遊戯を愛する感情だけは失われていない。

パール

神秘法院ルイン支部所属の使徒。テレポートを使える優秀な能力者だが、とある失敗がきっかけで、使徒からの引退を決意している。自他ともに認める思い込みが激しい性格。

ミラン

神秘法院ルイン支部の事務局長。理知的で落ち着いた大人の女性。支部期待のルーキーであるフェイの腕を勝っている。


神は遊戯に飢えている。1 神々に挑む少年の究極頭脳戦/感想・レビュー

細音啓氏の神々と人類の争いを描いたファンタジー作品になります。争いとはいってもゲームでの勝負であり、血が流れるような暴力的なバトルでないのがミソです。
知略が物言う頭脳戦と言えば、卓について向かい合って、欺き、騙し合うような心理的駆け引きの様子をイメージする方が多いかもしれませんが、さすがに神という超常の存在がお相手なだけあって、普通ではありません。小さな器に収まらない予想も超える圧巻のスケールが用意されていました。
ルールを自分でつくって、それにあわせて世界も構築して遊ぶというプレイヤーもゲームシステムも規格外なところに作品のユニークさが表れていました。
既存の枠をぶち破るエキサイティングなバトルではありますが、結構健全なスタイルで、読者に騙し討ちしてくる要素や、お互いに何か代償を賭け合うといったスリル要素も見られません。作品を読んでいて一つ思ったのは、ある現代的な娯楽の感覚に近しい部分があるなということです。
それは、『ゲームプレイ動画』で、その中でも『理不尽な難度のゲームに挑んでいるプレイ動画』の鑑賞に似ています。
理不尽で不親切なゲームを自身でプレイするには今更しんどいですが、それが好きで試行錯誤も楽しみながら挑んでいる様子を眺めるのは面白いというエンタメの形がそこにありました。
編集力ではなく筆力から柔軟なストーリーと豊かなドラマが作り上げられ、作品内の遊戯の観客同様、目の前で繰り広げられるパフォーマンスを楽しませてもらいました。
キャラクターも読者を惹きつけるしっかりとした個性を確立していました。
特にエネミー役である神は神でも超然としておりません。ゲームが大好きでしかも簡単にクリアされたら悔しいというような人間らしい精神まで持っているのは親近感がわきます。
主人公サイドも面白いポイントをもっていました。特にゲームにおいて『禁じ手』ともいえる『チート行為』の代表格ともいえる『不死属性付与』、『ボス級キャラの初期パーティ化』、『座標移動』などが与えられているというのは、非常にチャレンジングなところでしょう。
本来ならチートはゲームバランスを崩すもので、公平性を損なうために、正常な遊戯とは相容れない要素です。それを混ぜて、その上でそれでも成立させようとするという意欲と挑戦心が、壮大さと、理不尽さと、強烈さをもった神々の遊びとなったのでしょう。
激しい勢いそのままに綴られるストーリーは熱く高揚感を伝えてきます。読み手を立ち止まらせない流れるようなテンポの良さも持っていました。
ジュブナイル小説として、少年が好きなものがたくさん詰まった作品ですので、頭脳戦は難しそうでとっつきにくいと思う若人がいれば、ぜひ手に取ってみてほしいライトノベルだと思いました。

ひとくちおすすめポイントまとめ

  • 壮大なスケールで描かれる人対神の頭脳戦ファンタジー
  • チートvs理不尽の規格外、予想外のゲーム展開!

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