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おすすめラノベ紹介/ひだまりで彼女はたまに笑う。

ひだまりで彼女はたまに笑う。

ひだまりで彼女はたまに笑う。 (電撃文庫)


レーベル;電撃文庫
著者;高橋 徹
イラスト;椎名 くろ
発売日2021/6/08
関連ワード;学生 恋愛 猫

ひだまりで彼女はたまに笑う。/カンタンなあらすじ

高校の入学式の日、通学途中で佐久間伊織は、妙な態度で猫と相対しているミステリアスな少女・涼原楓と出逢う。
楓のことが気になった伊織は、彼女と同じクラスになると、その日からなんとなく目で追って観察するようになる。
楓は、表情の変化に乏しくほとんど笑顔を見せない。しかし、楓を目に触れる機会が多くなった伊織は偶然にも微笑んだ瞬間を目撃してしまう。
その表情は衝撃的で美しく一目で恋に落ちるには十分だった。すっかり心奪われた伊織は、楓とお近づきになりたいと考えるが、思いだけが空回りすることが多く、楓からは逆に距離を取られて避けられてしまう。
それでもめげずになんとしてでも心を開かせたい。そしてもう一度笑顔を見たい、それを見るために自分で笑わせたいと思った伊織は、幼馴染の小野寺湊や、楓の親友の鹿岡美鈴の協力を得ながら、難攻不落の楓の心を攻略していく。

ひだまりで彼女はたまに笑う。/登場人物紹介

佐久間伊織

お調子者でクラスでは弄られポジションのお笑い担当。楓の笑顔に恋をし、彼女を笑わせたいと思うようになる。男飯な料理をつくるのが得意。

涼原楓

学校でも注目されるほどの美貌を持つが、ほとんど無表情であまり笑うことがない。運動神経が良くスポーツが得意。猫が好きだが、同時に苦手意識も持っている。

鹿岡美鈴

楓の親友兼保護者。明るく活発で高いコミュニケーション能力を誇り、無口で他者と壁をつくりがちな楓も上手く周囲となじませることができる。

小野寺湊

小学校の頃から付き合いのある気の置けない友人。細目で緩い雰囲気だが、伊織に対しては毒を含ませた言動をすることが多い。

佐久間ひより

伊織の一つ下の妹。愛猫のコタローと兄のつくる豪快な男飯が大好き。

ひだまりで彼女はたまに笑う。/感想・レビュー

非常にシンプルでストレートなラブコメストーリーでした。キャラの配置も、主人公とヒロイン、そしてそれをサポートするそれぞれの友人が一人ずつと主人公の妹がいるという、どこにでもありふれたようなかなりスタンダードな構成と言えます。
しかし、主人公がまずヒロインに興味を持ち、主人公側から熱烈アプローチをしていく物語というのは、昨今のラノベの主流を考えれば、なかなか珍しいタイプではないでしょうか。ヒロインが既に惚れている、あるいは主人公に興味を持ってヒロイン側から寄ってくる受動的なものが飽和してる中で、しっかり差別化が出来ています。また、あらかじめ出来上がっている関係と違い、男性主人公が好感度0状態のヒロインと積極的に関係を持とうとするところから始まるのは、素直に読者の応援したい気持ちを強く刺激されます。
好きになった相手の笑顔が見たいという理由も目的も単純明快で受け入れやすく、そのために腐心する姿と動きは良き青春物語になっています。
主人公にややお調子者的で空回りするような部分も見られましたが、一途で真っすぐなところも昨今のラノベ主人公に比して好感を抱きやすかったです。
ヒロインは、オーソドックスにギャップを利用した可愛い魅力があります。最初そっけない態度だったのが、少しずつ心を開いていく展開も王道的で、その過程の中で読者もまたどんどん心が掴まれていきます。
楓は感情を表になかなか出さない無表情系キャラという設定ではありましたが、読んでいて表情も仕草の細かい描写も豊かな印象をしっかり受けました。一見矛盾を感じる部分かもしれませんが、「無」や「静」の属性設定を損なうことなく、メインヒロインとしての魅力のある様子を伝えるのは素晴らしかったです。最も大事な素敵な笑顔のイメージが頭の中で容易にできました。
ストーリー自体は簡素で、ラブコメとしての劇的なものや、意外性による驚きがないことは人によっては作品の一つの欠点と受け取るかもしれません。しかし、ヘビーな事情を抱えたドラマならば例外なく面白く、優れていると言えるわけでもありません。
小さいながらも、ほのかな温かさを感じさせてくれる物語にもまたそれならではの良さがあります。
ブコメは好きだけど、ありがちな受動的ラブコメや捻りを加えた変化球ラブコメにやや食傷気味かなという方には、おすすめできると思います。是非手に取って読んでみてほしい一冊です。

ひとくちおすすめポイントまとめ

  • 主人公が主体的に真っすぐ恋に邁進する青春ラブコメ
  • 無表情と笑顔のギャップを巧みに扱って表現されるヒロインの魅力!

 

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