おすすめラノベ紹介／探偵くんと鋭い山田さん　俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる2巻

探偵くんと鋭い山田さん2 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる

レーベル；MF文庫J
著者；玩具堂
イラスト；悠理　なゆた
発売日；2020/10/24
関連ワード；ミステリー　学生　

1巻の紹介はこちら

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探偵くんと鋭い山田さん2／カンタンなあらすじ

クラスでの自己紹介時の失言をきっかけに学校で探偵として活動することを迫られた戸村和。
興味本位で首を突っ込んできた鋭い山田雨恵とミステリー好きの山田雪音の双子姉妹と共に生徒たちの依頼を解決していく。
そんな実績は噂となって広がり、生徒のみならず教師の耳にまで届くことに。
国語教師の田草菖蒲先生は、過去の消えた原稿の行方を探し求めていた。
容疑者として浮上したのは、田草先生が高校在学時の文芸部先輩三人。
僅かな手掛かりをもとに、和たちが推理を進めていくと、事件は意外な解決を見せる。

探偵くんと鋭い山田さん2／登場人物紹介

田草菖蒲

和たちのクラスの副担任で担当教科は国語。美人であるが、影がある女性。年齢の若さとにじみでる小心さから生徒たちから気安く接されており、『さぁや先生』と呼ばれている。

探偵くんと鋭い山田さん2／感想・レビュー

手軽な学園謎解きコメディの第2巻です。今回も三つの謎解きストーリーで、オンラインゲームやSNSサービスなど現代的で学生にとって馴染み深いテーマとなっています。
全体の内容としては、ミステリーもラブコメも一巻と変わらぬ安定のクオリティで楽しめました。
手軽かつ安定したものが継続していくとなると、反面として停滞感や単調なリズムを読み手は感じ始めてしまいます。今作はそうした印象を与えないようにしっかりと中の調子に少し変化を加えるように工夫されています。一巻から継続して望んでいるものの供給をしつつ、プラスして一味加えることで、大変満足度の高いものとなっていました。
個人的に2巻の中で良かったと思える点がいくつかあります。
一つは主人公の魅力度が上がったことです。一巻は正直、主人公の魅力が薄く、かなり双子ヒロインのキャラクターに負けていました。作品としては全体的にヒロインの力にかなり支えられていた印象でした。2巻では、ようやく作品の主人公ならではの色が少しずつ出始めて、存在感が増しています。物語の中心にいる存在が生き生きと輝きを放てば、それだけ面白く、引き込まれるものになるので、一巻以上に話にのめり込めました。
二つ目の良かった点は、新キャラクターです。今回は田草菖蒲先生という教師キャラが新たに登場しました。学園ものですと、わりと美人女教師というのは、お馴染みともいえる要素です。そこに新鮮味はありませんでしたが、弱弱しくネガティブな印象を比較的前に出し、テンプレの食傷からややズラしています。
コメディのものではありますが、しかし、現代のミステリーを扱っているものでもありますので、登場キャラクターにはそれなりの『リアリティ』というものが要求されます。この性格で、この立場で、この行動をするというというものが読み手が納得できませんと、やはり話が滑らかに入ってきづらいです。
そうした意味では、教師が生徒に相談するという入り方をしたのは際どいところをついてくるなと思いました。ただ、キャラ設定的によって違和感を抑えています。フィクションのラノベキャラとしての魅力とギリギリのリアリティを両立させていて非常に好きです
三つ目は、謎解きの一つに、命や自己というものについて触れるものがあったというところです。気楽なラインを進んだものから珍しくちょっと外した少し繊細なところを上手く扱っています。ミステリーとして深刻な事件を扱わない分、思春期にぶつかって向き合う当人にとって深刻な問題で補っています。緊張感の起きにくい作品の緩みを引き締める良要素でした。毛色を変えつつも、しかし基本はライトなものとして過剰に重くなりすぎないよう調整されていたバランス感覚も優れています。
ラブコメ部分に関しては、変わらず秀逸で、双子ヒロインの山田姉妹の素敵な魅力も溢れていて、やりとりひとつひとつが読んでいて楽しかったです。
和たち学校探偵が活動する度に、依頼者が依頼者を呼び、そこから繋がりが増えてきて、活動の幅が広がっています。これからさらにどんな展開を見せてくれるのか非常に楽しみです。