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おすすめラノベ紹介/ドラキュラやきん!2

ドラキュラやきん!2

ドラキュラやきん!2 (電撃文庫)

レーベル;電撃文庫
著者;和ヶ原 聡司
イラスト;有坂 あこ
発売日;2021/2/10
関連ワード;現代 ファンタジー バトル 仕事 恋愛

1巻の紹介はこちら

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ドラキュラやきん!2/カンタンなあらすじ

『古吸血鬼ストリゴイ』室井愛花を退けた虎木たちはクリスマスのシーズンを過ごす。
虎木の働くコンビニ業界も販促のために忙しくなることになり、新しい人手が補充されることになった。
新人としてやってきたのは、中国からの留学生・梁詩澪(リァン・シーリン)。虎木を理由に店を選んだという彼女に、虎木たちは裏側の思惑を警戒をする。
真意を探るべくアイリスと未春の二人は私的な事情も込みで詩澪の監視をコンビニの内外で行う。研修で仕事を教えていく中で詩澪の妙な距離の近さを見せられ、二人はやきもきし、虎木も神経をすり減らすことに。
一方で、闇十字騎士団の修道騎士や比企家の関係するファントムが襲撃されるという事件が起きていた。アイリスもまた詩澪の監視中に襲撃を受けてしまう。アイリスのパートナー・ファントムと認定されてしまった虎木は事件を無視することも出来ず、捜査の協力をはじめる。

ドラキュラやきん!2/登場人物紹介

梁詩澪(リァン・シーリン)

虎木が務めるフロントマート池袋東五丁目店の新人スタッフ。志望理由は虎木が働いているからということで、同じ深夜シフトに入る。中国の出身だが、日本語も堪能。

ドラキュラやきん!2/感想・レビュー

ドラキュラやきん!の2巻目になります。一巻に引き続き、安心感ある丁寧なクオリティでした。読みやすい文章で、コメディもシリアス描写も相も変わらず呑み込みやすかったです。
今回のお話では、新キャラが登場します。前回の第一巻では、アイリスと未春という対照的な魅力を持ったヒロインを登場させ、お互いを映えさせながら、虎木含めた面白い関係性を構築していました。そこに新たなヒロインを割り込ませるということは、良くも悪くも変化を与えます。半端なキャラにすれば、埋没する恐れがあり、読者に印象は残せません。しかし、逆に強力であるなら、その化学変化がどのような影響をもたらせるのか、読む前には期待と不安が胸にありました。
もちろん、不安は杞憂に過ぎず、新ヒロイン梁詩澪は期待に沿う働きでした。さすがに後発組で、アイリスや未春の輝く魅力に並ぶというようなキャラクターではありませんが、『和洋』と『中』と被らないよう意識されつつ、しっかりとした個性と存在感を持っています。そして由良、アイリス、未春と三人が持つ魅力的な一面を引き出す役割としても力を発揮しました。
今回は詩澪が関わることでラブコメものとしては定番の嫉妬描写の量が多めで、また質も高いものがありました。嫉妬と言えば恋愛ものにおけるオーソドックスな調味料です。複数の男女の恋愛模様を描くときしばし持ち出されますが、意外と気軽に入れとけといわれるような便利なアイテムでは実のところありません。
どうしてもやりとりのパターンが限られており、判を押したようなテイストから脱するのが難しく、下手に描写しても、刺激を与えるどころか、陳腐で安っぽい印象すら読み手に与えることもあります。ですので、キャラクターや台詞、シーンなどに工夫が求められ、作者のセンスや引き出しがかなり物言う領域です。
そうした意味で、著者の和ヶ原聡司氏の力量と描き方は素晴らしいというほかありません。あるひとつのシーンで出た「人の『彼氏』」というワードチョイスといい、それを自然に出させた流れの作りといい実に良い嫉妬の描き方でした。ここは今回でも屈指の見どころといって過言ではないでしょう。ぜひ直に目にして味わってほしい部分です。第2巻になって、アイリスのヒロインとしての愛らしさがさらに増していきました。
終盤のバトルシーンについては、おまけ程度な感じでした。敵役として、惹かれるようなキャラクター性も欠けていますし、特別な因縁もなく、障害としては薄かったので、読み手の気持ちが入っていくような戦いではありません。ただ細かいアクション、一つ一つの動きは良いですし、圧倒的な力で潰していくような雑なタイプのバトルでないので、最低限の読みごたえは十分維持されています。
ラストの締め方も、非常に素敵でしたので、すっきりとした感情のまま読み終われました。全体としてかなり満足感の高い作品です。
第1巻を読んで、虎木、アイリス、未春の三人の関係性が大好きで、どちらかと言えばコメディタッチな部分の伸びを期待したいという方は、第2巻については読んで決して損はしないと思います。非常におすすめなシリーズでこれからがますます楽しみになりました。

 ひとくちおすすめポイントまとめ

  • パワーアップした魅力ある主人公とヒロインたちのドタバタなやりとり!
  • ライトながらしっかり処理された嫉妬と修羅場で引き出されるヒロインの可愛さ!

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