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10分でわかるライトノベル小説新人賞の応募について

 作家デビューの道/新人賞応募の基本

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小説家になるにはいくつかの道があります。本を出すということなら例えば自費出版もありますし、昨今は小説投稿サイトからのデビューもとても多いです。
まずオーソドックスな方法として一般に多くの方が思い浮かぶのは、小説新人賞の応募という形ではないしょうか。もっともイメージしやすく、華がある小説家のデビューの仕方になります。
本記事では公募新人賞について、まだいまいちよくわかっていないという方向けに解説していきます。本ブログはライトノベルを中心としたレビューをしている都合上、読者層に合わせて、基本的にラノベレーベルの応募情報などを参考や例として扱わせていただきます。

 

小説新人賞とは

小説新人賞とは簡単に言うと、出版社・レーベルが主催する新人を発掘することを目的とした小説のコンテストのことです。
新人賞と名がつきつつも、プロアマ不問の対象を新人と限らないものや、新人賞という名もなく、書籍化前提として通常の未発表小説を募集する賞などもあります。
各賞によってカラーが異なり、求める作風が少しづつ違っています。いずれのものもいくつかの選考の段階があり、出版社の編集者や作家などが審査をします。多くの場合、選考を通過し、最終的に受賞することで賞金や記念品の贈呈、そして作家デビューが約束されます。
ライトノベルの新人賞で完全に新人を対象とした賞として代表的なものは、「MF文庫Jライトノベル新人賞」などがあります。

小説新人賞応募の特徴について

ここではいくつかある小説家デビューの方法として、小説の応募をとることの特色について考えてみます。
ちなみに昨今は、小説投稿サイトでもコンテストを開催していたりするため、当然そうしたものとかなり重なる部分も出ています。

新人賞応募の特徴その1;箔をつけることができる

受賞することにより、その道のプロや専門家から一定の評価を受けたことが示されます。これはわかりやすい権威や肩書を得られるという一つのメリットです。
作品は入賞したという情報が加わることにより、価値が増し、作家には受賞者という実績・経歴が加わります。その賞に歴史があったり、一般の認知度が高く有名ならば、効力は大きくなります。

新人賞応募の特徴その2;評価シート、寸評をもらうことができる

一次選考通過者や、希望者といった一定の条件が前提になりますが、ライトノベルでは編集者など選考に携わって作品に目を通した人からの評価シートを手に入れることができます。
応募した作品に対して、各賞の評価基準に沿っていくつかの項目(キャラクターや独創性など)で採点がなされ、寸評も記載されます。選考者がどういう目線で見ているのかの一つの判断材料として有効です。なぜ落選したのかや自分の作品の長所や足りないところなど分析するのに役立てることができます。
フィードバックを反映させることは、よりよい作品づくりへと繋がっていき、デビューにも近づいていきます。

新人賞応募の特徴その3;プロの作家にも目を通してもらうチャンスがある

仮に好きな作家がいて、賞の選考に関わっている場合、その人の目に触れることになるかもしれません。
誰が審査員をつとめるかは募集概要のページに公表されていますので、憧れの作家さんの名前が載っていた場合はそれを一つの創作モチベーションに繋げることもできます。

新人賞応募の特徴その4;担当編集がつくことがある

入賞することが小説家デビューの近道ですが、仮に受賞を逃したとしても、最終選考に残ったり、編集者の目に留まることがあれば、担当編集がつくことがあります。
才能有りと編集に認められると、全面的なバックアップを受けながら、執筆をすることができますので、そこから小説家デビューへアプローチすることもできます。

新人賞応募の特徴その5;入賞することで賞金と授賞式出席の権利を得る

俗にいう富と栄誉になります。新人賞によって賞金の額は変わっていきます。
授賞式では担当や他の作家さん達と顔を合わせ、親睦を深めたり、繋がりを構築する機会を得られます。

新人賞応募で落選に関して気をつけたいポイント

作家デビューを夢見て新人賞に応募する以上は、当然入賞したいものです。これをすれば絶対に入賞できるなんて方法がこの世にあれば創作者は苦労しませんが、そんなものはありません。
とはいえ、多大な労力を割いて作品を作り上げるからには、1次で落ちるより2次と少しでも先に進んでほしいと誰もが望むでしょう。そして落ちるにしても、つまらない理由での落選はできる限り避けたいです。
ここでは、はやい段階で落ちるリスクを僅かでも減らしたいと考える人のために、応募する際に気をつけておきたい基本的なポイントを5つピックアップしました。

気をつけたいポイントその1;その新人賞が求める人材、レーベルカラーを把握する

出版社・レーベルはいくつもありますが、それぞれカラーが違います。カラーが違うということは賞で求めるものが違います。求めるものが違うということは受賞するための傾向と対策も変わっていきます。
受賞作を研究・分析し、どのような特徴をもっているのか、自身の創作した作品とマッチするのかについてあらかじめ把握しておきましょう。

気をつけたいポイントその2;応募要項、規定をしっかり読んで守る

作品を新人賞に応募する際は、必ず規定を守るようにしましょう。規定に違反すると、選考の対象外となる危険性があります。
選考委員によっては軽微なものを見逃すということはあっても、プラスには決してなりません。
不備があるということは、規定を理解してないことや、あるいは理解したうえで守る意識が低いということ、完成品のチェックを作者がしっかりできていないなどと見なされても仕方がないことです。
人間誰しもミスは犯しますが、自分の運命を決める大切な原稿だからこそ、焦らずに応募規定と照らし合わせながら、確認しましょう。
一方の新人賞で落選した作品を別の新人賞に応募するという場合に新人賞によって書式が異なることがあるため、特に注意が必要です。

気をつけたいポイントその3;それは『あなた』にしか作れないものか

作品をつくる時、そして完成した時にも、これは自分だからこそ作れる唯一の作品であると自信をもって断言できることが望ましいです。
例えば、ライトノベルには『テンプレ』と称されるものがあります。いわゆる様々な作品でよく見られる当たり前のように使われている設定や展開のことです。
テンプレには、読者が好きな要素で、多くに支持されたため決まった型として定着化しているという側面があります。読み手が面白いと思うものを第一に提供するということを考えるのであれば、テンプレ構成で作品をつくるのは一見、正しい手には見えます。
しかし、そうした人気ある有り触れた要素を重視すれば『ウケがいいはずだ』と安易に考えて作品をつくることは新人賞において有効な手と言えません。
というのも、一口に『面白い』作品といっても、決まり切った判を押したような物語の『面白さ』にすぎないのであるなら、作者が『あなた』である必要がないのです。誰でも定番の型通り作れる面白さということは、つまり他の誰かでも構わないですし、既存の作家でも十分です。あえてお金をかけて募集して新しい人材を発掘する意味がありません。
仮に過去の受賞作にテンプレ要素が入っていたとしても、それは決してそこの部分を評価されて選ばれたわけでないという認識が必要です。
ライトノベル新人賞は、応募数も大変多く、競争が激しいです。多くの作品が並んだ時に、似たような設定、世界、キャラだけをぶつけても、目を引くことが出来ず、競争には勝てません。
だからこそ、自分だけが作れる、自分だからこそ伝えられるものを生み出してみてください。
そのユニークな創造性こそが作品の武器であり、魅力となり、選考委員の目に留まる輝きになるでしょう。

気をつけたいポイントその4;冒頭を大事に使う

これは定石の一つです。基本的に小説というのは、冒頭という早い段階で読者の心を掴む仕掛けを何か施さなければなりません。
理由は自らの読者としての行動を考えてみるとわかると思います。例えば書店で本を立ち読みするとき、あるいはネットの投稿サイトで小説をあさる時、電子書籍の試し読みを見る時でも構いませんが、その際にほとんどの方は数行、数ページでその本の自分にとって価値を判定しているのではないでしょうか。
自分にとって価値があれば、より読んでみようと思うでしょうし、時間を割いて読む価値ないなと判定すれば、心は離れて本を棚に戻しますし、ネットではブラウザバックをします。作品の魅力度はそのたったの少しの文章で決められてしまっているということです。
だからこそ、多くの作家は自己の作品が打ち捨てられることを避けるべく、一行目から読者の心をなんとしてでも掴もうと腐心します。
新人賞の応募も一緒です。最後までしっかり読んでくれるか否かに関わらず、最初で読み手を惹きつけてみましょう。ここでのめり込むようなワクワク感を与えられれば、作品の印象は良くなります。

気をつけたいポイントその5;運も関わってくる

最後の最後で身も蓋もないのですが、選考には運、不運という要素が少なからずあります。
応募規定を順守し、最初から最後まで面白くオリジナリティに溢れた作品だったとしても、選考次第では落ちるときは落ちます。
人が審査している以上、嗜好の相性もありますし、その新人賞に並んだ他作品との比較も起きますので、必ずしも評価が一定とは言いづらく、選考する人によって通るか通らないかが若干変動することはどうしても発生しうるものです。
理不尽なことのように思えますが、こうしたことはなにも小説の新人賞に限ったことでなく、あらゆる分野、あらゆる事柄で大なり小なり似たようなものがあり、ことさらクロースアップするものでもありません。
一種の『めぐり合わせ』というものであり、これがあるから世の中には『ドラマ』が生まれるくらいの考えを抱いたほうが創作活動をする上では健全ともいえます。
本当に素敵な作品であるのであれば、一時の選考運が悪かったとしても、別の新人賞に応募することで、輝きを見逃さない編集の目に留まることはありますので、自分の作品を信じるであれば、それを貫くことも大切なことです。それによって、自分の良さを真に理解してくれる編集者とめぐり合えることもあるかもしれません。

新人賞応募のまとめ

  • 新人賞応募は出版社・レーベルが新たな才能、作品を発掘するために開催。
  • 新人賞に入賞することで作家としてデビューでき、賞金や受賞者としての肩書などを取得。
  • 新人賞では、応募規定を必ず守り、選考する人の目に留まるような魅力ある作品づくりを意識することが肝要。
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