読む書くノベ楽

ライトノベルを中心とした小説や物語のレビューブログ

おすすめラノベ紹介/双神のエルヴィナ

双神のエルヴィナ

双神のエルヴィナ (ガガガ文庫)

レーベル;ガガガ文庫
著;水沢 夢
イラスト;春日 歩
発売日;2021/02/18
関連ワード;ラブコメ バトル 女神

双神のエルヴィナ/カンタンなあらすじ

創条照魔は幼き頃、美しき六枚の翼を生やした女神に出会った。女神と過ごしたのは僅か七日間だったが、恋に落ちるには十分な時間だった。
甘い思い出を胸に、いつか再会する日を夢見て、それからの照魔は、女神に相応しい男になるべく自己を磨くことにひたすら打ち込んだ。
照魔が十二歳の誕生日を迎えたある日、見知らぬ世界に迷い込む。そこには、美しく、神秘的な光景が広がっていたが、同時に女神が血で血で洗う凄惨な闘争が繰り広げられていた。
天界では、神聖女神<セイヴァリド>と邪悪女神<ゾディアクス>の二つの派閥が人間世界の統治方法を巡って対立しており、照魔はその争いに巻き込まれてしまう。
初恋の相手に出会えることを期待して、六枚翼の女神の姿を追う照魔だったが、そこで出会った六枚翼の女神はエルヴィナという邪悪女神の代表だった。
エルヴィナは神聖女神との激しい戦いの中で、その命が潰える危機に陥る。照魔は思わず、消えゆくエルヴィナを抱きとめるが、それが引き起こしたのは、女神と命を分け合う運命共同体の契約だった。

双神のエルヴィナ/登場人物紹介

創条照魔

世界的大企業創条コンツェルンの御曹司。幼少の頃より、英才教育を施され、特に算数での優秀さは小学校同世代間でも抜きんでている。女神に恋しており、自他ともに認める女神オタク。

エルヴィナ

クールな六枚翼の女神。邪悪女神の勢力に属し、争いごとを好む性格をしている。照魔と出会い、生命を分け合ったことで、人間界へと追放される。

斑鳩

照魔が厚い信頼を寄せる創条家の執事。高いプロ意識と忠誠心を持っており、主人のあらゆる要望に応えるべく様々な資格と知識を保有している。

恵雲詩亜

照魔の専属メイド。主人や先輩相手でも非常に気安く、言動も軽いが、侍従としての働きぶりについては一流の域に達している。

麻囲里茶

創条家に長く仕える従者長。照魔にとっては、忙しい両親に代わって世話をしてくれた乳母のような存在。愛情を持った厳しさで、照魔を一人前にするべく接している。

エクストリーム・メサイア

天界の門番を務めていた六枚翼。天界では中立の勢力であり、エルヴィナと契約した照魔の監視役に任命される。人間界では照魔の会社の受付嬢として受け入れられた。


双神のエルヴィナ/感想・レビュー

女神と少年の恋の物語になります。笑いあり、涙ありと幅広く感情を動かす楽しいストーリーでした。
特にコメディ部分についてはキャラクター同士の軽妙なやりとりが冴え、独特な台詞も併せて愉快な気分にさせてくれます。存外に振り切っていて、勢いをもった暴れぶりは見どころです。
無茶苦茶なようで、文章自体は読みやすく、とてもわかりやすさを重視されていました。しかし、その直感的な理解の容易さを求めたがゆえに、ややシナリオに傷がつく箇所もあったかなと感じました。
例えば、神相手に「その人」、「人となり」、「人生」だったり「人」とつく単語を使用することが一度や二度に限らずやけに散見されました。女神側、人間側問わずです。
おそらく読み手に対する入りやすさの配慮だったのだろうと予測はできます。
しかし、これによって、女神に関する書物を1000冊も読んでいるオタクのはずの照魔が助数詞を間違えたり、神と人とを次元が違うものとして区別するスタンスの女神側が何故か自身らに「人」をつけたりと、ユーモアと異なる「おかしさ」が引き起こされていました。
これらは、説得力を損ない、キャラクターや世界の設定であったり、物語の根幹を傷つけかねない小さな歪みです。コメディだけならばともかく、シリアスな部分も繊細に描いていくのであればやはり完成度への影響は無視できません。この辺りはわかりやすさを追った弊害なのかなと思いました。個人的にはもう少し気をつかった別な言い回しや表現の方にしてほしかったです。
メインのラブコメの関してですが、可愛さと切なさの詰まった恋愛で、今後に期待が持てるつくりでした。一応少年と年上(?)ばかりなので、ジャンル的にはおねショタものに属し、随所にその片鱗が表れています。
ヒロインのエルヴィナはクール系ですが、愛情表現に乏しいようでいて、仕草や言動の端々にしっかりと気持ちが漏れ出ており、それを読み取るだけでも気分が高揚します。
主人公とのやりとりは多く、バトルにおいても常に側につき、隙あらばいちゃつくのもポイント高いです。ラストの独白シーンも強いヒロイン性を打ち出していて素敵でした。この不器用さが好ましく、そして微笑ましい。もっともっと色んな表情や表現パターンを見たい気持ちを強く引き出してくれました。
エルヴィナは恋愛のパートナーであると同時に、バトルのバディでもあるわけですが、今回は、バディものとしての戦闘での「絆」や「対立」といった要素については、軽く触れる程度で終わりました。
途中やや反目しあうことになるものの、結局は一端脇に置いた状態で進んでしまったので、これからそれらをどう消化して、決着させていくのかも興味深い見どころでしょう。
基本的には、著者が明言しているように、本作のジャンルは少年と女神のラブコメで、主人公・照魔とヒロイン・エルヴィナの関係に焦点を当てて描かれることになります。異なる種族、思想、価値観がぶつかり合った末にどのような物語が紡がれていくのか今後の展開が楽しみです。

ひとくちおすすめポイントまとめ

  • コミカルな要素から感動的な要素まで幅広くおさえたストーリー!
  • エルヴィナの独特な言い回しや行動から読み取れる可愛らしさ!

 

 

ブログランキング・にほんブログ村へ