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おすすめラノベ紹介/スパイ教室 短編集01 花嫁ロワイヤル

スパイ教室 短編集01 花嫁ロワイヤル

スパイ教室 短編集01 花嫁ロワイヤル (ファンタジア文庫)


レーベル;富士見ファンタジア文庫
著者;竹町
イラスト;トマリ
発売日;2021/3/19
関連ワード;スパイ 学生 戦闘 ファンタジー 頭脳 恋愛

01の紹介はこちら

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スパイ教室 短編集01 花嫁ロワイヤル/カンタンなあらすじ

生物兵器奪還任務を終え、日々訓練に明け暮れる「灯」の少女たち。
クラウスを倒そうとするも、なかなか突破口を見出せない中、参謀のグレーテが思いついた搦め手というのが何故かボスと婚姻するという私情に塗れた奇策であった。
しかし、実行に移す段階になって役所で発覚したのは、クラウスには既に妻がいたという驚愕の事実だった。
偽装結婚であるが、その相手となった者が「灯」のメンバーの中にいると知り、少女たちはお互いに疑いの目を向け合う。
そして、開かれたのは「花嫁裁判」。少女たちは、それぞれ過去にあやしい動きがなかったか、探るように振り返っていく。


スパイ教室 短編集01 花嫁ロワイヤル/感想・レビュー

スパイ教室シリーズ初の短編集になります。スパイ少女のうち4人(ジビア、サラ、モニカ、グレーテ)がメインの短編物語がそれぞれ4本と、それを繋ぎあわせつつ最後に全員の「花嫁ロワイヤル」という話を描いたものが1本の合計5本で構成されています。
時系列でいうと、生物兵器奪還任務の1巻から暗殺者殺し任務の2巻の冒頭までの間の話です。
短編ということで、本編に比べ一つ一つの意外性や派手さは欠けますが、小粒であってもキャラクター描写を濃密にして、見せ場や盛り上がりを作っています。
グレーテを除けば、まだ本編でメインとして扱われていないキャラクターも多く、この少女らが活き活き動く姿をもっと見たいと思っていた読者も多いのではないでしょうか。
特に今回は、控えめで主張がそう強くなかったサラの活躍や天才モニカの内側に抱えるものなど、少女たちの新しい一面を見ることができます。
本短編のコンセプトはサブタイトルで「花嫁」と冠されているようにラブコメ編。本編ではあまり描くことができなかった少女たちの裏側――つまり日常や恋愛的な部分などを主軸においています。ラノベ読者が求める定番の要素をこうして補完してくれるのは、大変ありがたいです。
恋愛ものとしてみるにはやや薄口なものの、信頼にしろ、憧れにしろ、少女たちとの心的な距離が近づいていく様子には胸を打たれました。もちろんコメディ部分のドタバタ感も強めで、大変楽しく読めます。とりわけ最後の「花嫁ロワイヤル」の争いは、コミカルでありながら様々な少女の想いが凝縮されている良いエピソードでした。
終始一貫してファンである読み手を楽しませようという作り手のサービス精神と意欲がしっかりしており、少女たちへの愛もよく伝わる作品となっています。
キャラクター小説として秀逸ですので、スパイ教室シリーズファンにとって手許に置いておいて損はないおすすめの一冊だと思います。

ひとくちおすすめポイントまとめ

  • スパイ教室初の短編集でキャラ描写に注力!
  • 本編ではあまり描けなかった恋愛要素を加えたラブコメ編!

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