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おすすめラノベ紹介/魔王2099 2.電脳魔導都市・秋葉原

魔王2099 2.電脳魔導都市・秋葉原

魔王2099 2.電脳魔導都市・秋葉原 (ファンタジア文庫)

レーベル;ファンタジア文庫
著者;紫大悟
イラストレーター;クレタ
発売日;2021/4/20
関連ワード;魔王 勇者 ファンタジー サイバーパンク バトル

 

1の紹介はこちら

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魔王2099 2.電脳魔導都市・秋葉原/カンタンなあらすじ

魔王ベルトールはかつて最も自身に近かった配下である六魔候の消息のことが気にかかっていた。
現時点で把握できているのは、マキナ、マルキュス、ゼノールの三柱。残りの六魔候は未だその行方が明らかでなかった。
手掛かりとなるのは、古の魔導具「魔候録」。それは、六魔候の魔力と行動が記録された書物だった。
ベルトールは凄腕ハッカーである高橋の力を頼ることで、魔候録の情報を収集する。
所在の候補地として浮上したのは、電脳魔導都市・秋葉原市。魔法学園の地下宝物庫だった。
ベルトールは生徒として短期留学し、正面から学園に潜入する。
しかし、地下宝物庫には魔法で封印がかけられており、三つの「王徴」が揃わないと開かない仕組みになっていた。

魔王2099 2.電脳魔導都市・秋葉原/登場人物紹介

山田・レイナード・緋月

秋葉原魔法学園の女生徒。秋葉原御三家の一つレイナード家の当主であるが、「王徴」を失っていることに加えて魔法の才がないことで周囲からは馬鹿にされている。

トラート・ゲーテ

秋葉原御三家ゲーテル家の当主。秋葉原魔法学園の理事長を務めている。長命種のエルフ族で、全身を機械化している。

コルネア・セルブド

秋葉原御三家セルブド家の当主。セルブド商会のトップを務めている。没落寸前だったセルブド家を立てなおした商才に富むゴブリン。

魔王2099 2.電脳魔導都市・秋葉原/感想・レビュー

ファンタジーサイバーパンクを融合した魔王ものの第二弾になります。一つ一つはありがちな要素なものの、それらを上手く混ぜ合わせ調理することで独特な魅力がしっかり作られた作品です。今回もまたそのごちゃ混ぜ感の持ち味が遺憾なく発揮されていました。
2巻では、意外にも学園ものの要素を新しく取り込まれてました。ファンタジーと学園の組み合わせ自体はラノベに限らずもはや手垢が沢山ついています。登場するのもまた落ちこぼれ生徒やいけ好かない貴族の坊ちゃんなどどこかで見たような古典的設定ともいえる生徒達です。
展開されるのは当然こてこてのお約束ともいえる流れではありますが、それでもどれも楽しむ読み進めることができました。偏に主人公が持つ際立つ個性のおかげです。主人公という軸がしっかり安定していて、そのベースを活かしているからこそ、テンプレでも愉快なストーリーが仕上がっています。
料理の仕方は新たな材料を加えてもあくまでシンプルに。そして、シンプルゆえにメインとなる主人公の濃い味がはっきり引き立ち、慣れた味から離れることでマンネリ感を抑えこんでいます。
読み進めながら学園生活でベルトールがきっと何か起こしてくれるだろうという予感が常にあり、その期待に違わぬ動きを見せて楽しませてくれます。ワクワクした感情を抱きながらページをめくれるのは、大変心地よかったです。
ベルトールを軸に新たに構築される関係性も良かったです。それだけに学園生活が前半部分だけでほとんど終わってしまったのが、やや残念で、個人的にはもう少し学生として暴れまわるベルトールの姿が見ていたかった気がします。
2巻におけるもう一つの新しい部分は新ヒロインキャラ緋月の登場です。緋月も、メインとしての存在感を放っていました。決して新しいタイプのヒロインであるとは言えませんが、こちらも個性と魅力が輝いています。マキナや高橋とも被らず、特に異なる部分として奔放なベルトールに振り回される様子が見えやすく、役割と配置が見事でした。やりとりが多くコメディ、シリアス両面のバランスもとれていました。ヒロイン性も随所で発揮していて、非常に好印象を受けます。
キャラクター小説としてクオリティが素晴らしく、全体として読者満足度が高かった印象です。
今回終始かなりファンタジー色が強い話でしたが、逆に次回は科学方面が強くなるのでしょうか。もしかしたらまた新たな別の何かが加わるのかもしれません。ごちゃ混ぜと言えど無闇矢鱈な盛り付けをせず、配分を考えながら調理している著者ですので、次がどういった舞台になり、どのような物語が展開されるのかとても楽しみです。

ひとくちおすすめポイントまとめ

  • わかりやすくシンプルな展開で際立つ主人公の魅力!
  • 新ヒロイン緋月の登場で関係性の幅と深みがパワーアップ!

 

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